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サックスを作った人って誰?【サックスの歴史part.1】

本日はサクソフォンが発明された過程と、どのように音楽に取り入れられていったかについて簡単にまとめてみました。

 

今日はそのPart1.です。

私は音大に通っていましたので、サクソフォンのために書かれた数々のクラシックの名曲に触れることが出来ましたが、趣味でサックスを始めた方はそのような曲に触れる機会はなかなかないかもしれません。

 

ぜひこれを機会に昔のサックスの名曲について知っていただければと思います。


サクソフォンの開発、開発に至る背景

アドルフ・サックス
アドルフ・サックス

サクソフォンはベルギーの楽器製作者のアドルフ・サックスによって発明されました。

アドルフ・サックスはバスクラリネットの改良中に円錐管の魅力に注目し、考案したとされています。

Saxophoneの名前は彼の名前にちなんだものです。
もともと吹奏楽団における木管楽器と金管楽器の橋渡しを目的に開発されました。

 


構造上、木管楽器に分類され(クラリネットと同じシングルリードの楽器のため)ますが、真鍮を主とした金属で作られていますので、木管楽器と金管楽器の両方の特性を兼ね備えているとされています。

 

これについては吹奏楽をやっている人なら特にわかると思うのですが、

  • ある時はクラリネット、フルートと一緒にメロディーのフレーズを吹いたと思えば
  • またある時はユーフォニアム、ホルンと一緒に中音域のハーモニーを受け持つこともある

など、カメレオン的な役割をしていることが多く、木管と金管の橋渡し的存在です。

また「サックスは最初は木で出来てたから木管楽器なんですか?」と聞かれることもありますが、違います。


アドルフ・サックスの開発当時から金属の本体でした。
発音の仕組みがクラリネットと同じなので木管楽器に分類されています。

 

7種類のサクソフォン

アドルフ・サックスは1846年6月28日にサクソフォーンの特許を取得しました(C管F管のグループとBb管Eb管のグループのそれぞれ7種類)
この特許取得時からソプラニーノからコントラバスまでに至る7種類のサックスファミリーが完成していました。

ただし、C管&F管のグループのサックスは定着することはなく、アドルフ・サックスによって製作された楽器のごく一部に留まります。

 

サクソフォンの採用の歴史

✔19世紀の開発当初から停滞期

アドルフサックスによって開発されたサクソフォンですが、当然それを演奏する人がいなければ世には広まっていきません。

1840年代と1850年代にサクソフォンは小さなクラシックアンサンブル(サクソフォンアンサンブルと混合アンサンブルの両方)においてや、独奏楽器として、またフランスとイギリスの軍楽隊において使われるようになりました。

この当時に書かれた曲の一つとして、今でもサクソフォン四重奏でよく演奏されるのがジャン=バティスト・サンジュレー作曲の四重奏曲第1番 作品53(1857年)です。

↑誰が演奏しているものかはわかりませんが参考音源として掲載させていただきます。

この当時、サクソフォンは管弦楽曲においても実験的に使われましたが、オーケストラの楽器として広く使われるようにはなりませんでした。

ヨーロッパのクラシック音楽界からの関心と支持を受けていた初期の時期を経て、19世紀終わり頃にはサクソフォーンへの関心は薄れていきました。

 

20世紀初頭の成長と発達

一時、世間のサクソフォンの関心は薄れていきましたが20世紀に入るころ~20世紀初頭に再びサクソフォンが様々なシーンで使用されていきます。

 

具体的には

  • ラグタイム楽団(黒人音楽に強い影響を受けた音楽ジャンル・ジャズの前身)での使用
  • ダンス楽団での使用
  • ジャズでの使用
  • 1920年代後半から1930年代初頭にかけての主にマルセル・ミュールとシーグルト・ラッシャーによるクラシックサクソフォーンの近代化によるレパートリーの急速な拡充

などです。

 

✔クラシックサクソフォンのパイオニア マルセル・ミュール

特に最後の項目に出てきたマルセル・ミュールという人はサックスをやるのであれば必ず知っておきたい人物です。

 

クラシックサックスを勉強する人で、このマルセル・ミュールのことを知らない人はいません。

↑マルセルミュールの演奏するグラズノフのコンチェルト

 

ものすごく昔の演奏ですが素晴らしい演奏です。
この時代の音源が残っていることに感謝したいです。

ただ、およそ100年前くらいの演奏のため、演奏スタイルがかなり古いです。

特にビブラートが特徴的だと思います。

 

私は音大の学生の当時、マルセルミュールの演奏を何回も何回もCDで聞いていました。
そのおかげで「ビブラートが古臭い」と同級生に言われました(笑)

マルセルミュールの演奏は中毒性があるので要注意です。

 

 

こちらのCDはマルセル・ミュール最盛期の1953&54年の録音の復刻版です。

 

上にも書きましたが、ビブラートがこの時代特有のものとなっていますが、美しい音色と素晴らしいテクニックで演奏される数々の曲は今も色あせることはありません。

 

 


↑マルセルミュールへのインタビュー
こんなものが残っていたとは!
YouTubeは最高ですね。

 

✔ミュールが遺した教則本

また、マルセル・ミュールは教育にも熱心で、自身も数々の教則本を残しています。

 

「Ferling:48 etudes」はクラシックサックス奏者を志すものであれば必ず通る道です。

 

元々はW.フェルリング(1796-1874)によるオーボエ用の練習曲で、それをマルセルミュールがサックス用に編曲し直したものです。このエチュードはなかなか難しいですが、

  • 吹奏楽をやっている方は持っておいて損はないかも
  • 音大進学を考えている方は必携

のテキストです。

 


✔シグルード(シガード)・ラッシャー

フランスのマルセル・ミュールが活躍していた時期と同時期にアメリカ出身のクラシカルサクソフォン奏者も活躍していました。

正直私はシガード・ラッシャーのことは「フラジオなどの特殊奏法が得意でイベールのコンチェルトがこの人のために書かれた」くらいにしか知りませんでしたので、YouTubeで初めてこの方の演奏を聴くことができました。

マルセルミュールとほぼ同時期に活躍したクラシックサクソフォン奏者ですが、聴き比べると両者はかなりスタイルが違いますね。

どちらかといえばラッシャーの方が現代の演奏スタイルに近いような気もします。


ということで本日は以上です。

明日はサクソフォンがジャズ黎明期におけるサックスの使用の歴史について書きます。


私オサナイ(長内)は名古屋の千種区の池下でサックスの教室をやっております。
初心者の方でも楽器の持ち方から丁寧に指導させていただいております。
またネットからの申し込みの場合は入会金が通常1万円のところを半額の5000円にさせていただいております。
1回のみの受講も可能ですのでぜひレッスンにお越しください。

レッスンの詳細についてはこちら

 



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