本日は「星に願いを(When You Wish Upon a Star」のようなスローなナンバーを良い音で演奏するための練習方法を解説していきます。
段々上達してくると感じられることだと思いますが「テンポの速い曲よりゆっくりな曲の方が難しい!」
そんな感想を抱く段階に達した方にぜひ読んでいただきたい記事となっています。
使用している楽譜・音源
「虹の彼方に」「ムーン・リヴァー」「いそしぎ」などのジャズスタンダードナンバーを手軽に楽しめる内容です。
技術的には中級者以上の方にオススメできます。
今回の演奏ではこの楽譜とカラオケ音源を使用しましたが、以下の記事ではこれがなくてもご理解いただける内容となっています。
本記事のテーマ
「星に願いを」のようなスローナンバーをサックスで良い音で吹くための練習法
✔本記事の対象の方
- サックスを始めて2年目くらいの方
- 音が平坦で「スローナンバーを吹くとつまらない」と言われる方
- 音が汚いと言われる方
- 音色に深みが欲しい方
以上のような方向けの記事となっています。
✔「星に願いを」のようなスローナンバーを良い音で吹くための練習方法
- 真ん中のレ~ファの音の音程を確認する
- 全部の音を正しい音程を意識してロングトーンする
本日は以上の2つだけを深く解説します。
✔本記事の執筆者
私、長内(オサナイ)は中学生の時にサックスを始めて、その後愛知県立芸術大学という大学でクラシックサックスを専門的に学びました。
卒業後はヤマハの大人向けのポピュラーミュージックスクールで講師として仕事をし、現在は私個人の音楽教室でサックスの指導をしています。サックスをはじめてからかれこれ25年ほどです。
1.真ん中のレ~ファの音の音程を確認する
✔チューナーを使って音程を確認してみてください
突然ですが、あなたはサックスを吹いた時に全ての音でチューナーの針を真ん中に合わせることができますか?
「チューニングして運指さえあってれば全部の音が正しくなるでしょ。」
そうお思いのあなた。
まずはその考えから抜け出せるか抜け出せないかで初心者から抜け出せるかが決まります。
✔試しにレ、ミ、ファの音をチューナーを見ながら吹いてみてください。
試しに中音域のレ、ミ、ファの音をチューナーを見ながら吹いてみてください。
どうでしょうか。
絶望的に音が高くありませんでしたか?
チューナーの針が右側に行き、振り切れんばかりになっていませんでしたか?
もし、ここで
「いや、普通に吹いてぴったり合ってたけど」
という方は低音域のレ、ミ、ファを吹いてみてください。
そうすると今度はそちらは絶望的に低くなっているはずです。
✔そもそもチューニングという行為をしたところでサックスの音はまるで合わないという事実
サックスをレッスンに通って習っているという方は先生から
「チューニングはオクターブキーを押したファ#(実音Aの音)で合わせるんですよ。その音でマウスピースの抜き差しをしてチューニングを合わせてくださいね。」
と教わっていると思います。
それは正しいです。
非常に正しい。
1ミリも間違っていません。
ただし、注意していただきたいのは実はオクターブキーを押したファ#の音はサックスの中で高くなりやすい音域なのです。
つまり、このファ#を基準にマウスピースを抜いたり入れたりしてしまうと、マウスピースが抜けすぎてしまい、全体の音程が低くなります。
✔まずはチューニングするときは1オクターブ下のファ#も合わせてみてください。
「それじゃあチューニングをどうやってやったらいいのか。」
「毎回毎回全部の音をチューナーで確認してその中でちょうどいいところを見つけなきゃいけないのか?」
という疑問も生まれると思います。
はい。その通りです。
それに吹奏楽部などで、みんなでAの音(もしくはBbの音)でチューニングをするのでどうしてもその音で吹かなくてはいけないという事情もありますよね。
それでは、チューニングをする時は、中音域のファ#だけではなく、低音域のファ#でも合わせるのはいかがでしょうか?
事実そのようにチューニングをするプレイヤーも多いです。
低音域のファ#は比較的低めの音程ですので、そちらに合わせると今度は全体の音程が高くなります。
つまり、二つの音域の間を取って
- ギリギリ低音域のファ#が音程が低くならずに合わせられる
- 中音域のファ#も、口を緩めてすごく低く取ればなんとか音程が合う
というところにマウスピースの位置を合わせてみましょう。
✔レ、ミ、ファの音を下げて吹くと音に深みが増す
さて、チューニングの位置は決まったところでまた改めてレ、ミ、ファの音を吹いてみましょう。
やっぱり高いですよね。
特に今度は低いファ#でもチューンニングを合わせてましたので、なんなら以前よりマウスピースの位置が奥に入ってますので、前より高くなったと思います。
これを、なんとか合わせるよう練習します。コツとしては
- 息をたくさん入れる
- 息の方向を下に向ける
- 口の中の容積を広げる
ということが考えられます。
そして音程を合わせることができたらその時の音色にも気をつけてほしいのですが、以前より深みのある音が出ていませんか?
実はここにプロの秘訣があります。
✔プロはレ、ミ、ファの音を高くならないように気を付けながら吹いているから音に深みがある
そもそも中音域のレ、ミ、ファのあたりは使用頻度の高い音域ですが、めちゃくちゃ音程が高くなりやすい音域です。
実は上手な人というのはこの辺りの音域の音程が高くならないよう常に気をつけながら演奏しています。
先ほど
「レ、ミ、ファの音程を下げて吹いたら音色に深みが出た」
と思うのですが、つまりは、使用頻度の高い音域に深みがあるので全体の音色が良く聞こえるという一面があります。
なので
「中音域レ、ミ、ファの音域を上手にコントロールできるようにする練習」
というのは
「全体の音色の向上」
にもつながるという大変コスパの良い練習となっていますので、ぜひレ、ミ、ファの音の音程のコントロールを意識して日ごろから練習してみてください。
2.全部の音を正しい音程を意識してロングトーンする
✔音程が合わないからと言ってその都度マウスピースを抜き差ししないでください。
先ほどレ、ミ、ファの音を徹底的に合わせていただきましたが、他の音も合わせていきましょう。
この時に注意したいのは
「音程が合わないからといってその都度マウスピースを抜き差ししない」
ということです。
たまにいらしゃっるのですが、せっかくちょうどいいマウスピースの差し加減の場所を決めたのに、高音域、低音域を練習して音程が高かったり低かったりしたときに、それに合わせてまたマウスピースを抜いたり入れたりしてしまう方です。
そんなことをしてもなにも解決しません。
曲を吹いている時に音域に合わせてマウスピースの場所は変えられないですよね?
ここでやりたいのは、一度すべての音域をチューナーを見ながら吹いて
「高くなりやすい音、低くなりやすい音を自分で把握する」
ということです。
そしてそれがわかった上でロングトーンを練習します。
✔正しい音程を聞きながらロングトーンをしましょう。
さて、実際に全ての音域でロングトーンをする上でのポイントが一つあります。
それは
「チューナーを見ずに正しい音程を耳で聞きながらそれに合わせるトレーニングをする」
ということです。
練習方法としては
- チューナーの音が出る機能を使用
- ピアノを鳴らして音を鳴らす
こういった方法で正しい音程を耳で聞いてそれに合わせながらロングトーンをします。
なぜこの練習が必要かというと、先ほどはチューナーを見ながら
「この音は高い、この音は低い」
などと判断していきましたよね。
その時に使っているのは五感で言えば「視覚」の部分です。
でも実際演奏のときに使う五感はなんでしょうか?「聴覚」ですよね?
つまりチューナーの針を見ながら音程を合わせられるようになっても主に「視覚」しか働いていませんので、それは実際の演奏ではほとんど役に立ちません。
なので、チューナーを使って
「高くなりやすい音、低くなりやすい音がなんなのかという傾向を知る」
ということも非常に重要ですが、その作業が終わったら、より重要な
「音を聞いて高いか低いか判断出来るようになる」
という練習をする必要があります。
✔音程が悪いと音色も汚くなる
今日の記事ではほとんど音程のことしか言っていないのですが、実はサックスを演奏する上でそれくらい音程が音色に与える影響というのは大きいです。
音程が合っていないときは
- ブレスが浅い
- マウスピースを常に強くかみすぎている
- 音域の変化に合わせて喉の状態が変化していない
という状態が考えられますので、そもそも基礎的な部分がまだまだ未熟であると考えられます。
逆に言えば常に正しい音程を意識して練習することで、おのずと正しい奏法も身に付きやすくなっていきます。
✔音程を合わせるという練習は目標が立てやすいのでオススメです。
それに、音程を合わせるという作業は基準が明確でわかりやすいので目標が立てやすいです。
例えば先生に
- もっと感情を揺さぶるような演奏をして!
- フレーズをもっと歌を感じられるように!
- 情感たっぷりに演奏して!
などと抽象的な表現でアドバイスされても、正直私の場合は「意味わかんないな」っていう感じなんですけど、
「音程を合わせて。耳でわからなかったらチューナーを見て真ん中に針を合わせて。」
の方が目標も立てやすいし、理解がしやすいです。
まあ、そこは人それぞれかもしれないですが、とりあえず音痴な演奏よりも良い音程で吹けた方が気持ちのいい演奏であることは間違いありませんので、常に音程は意識して練習したほうが良いでしょう。
ということで本日は以上となります。
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初心者の方でも楽器の持ち方から丁寧に指導させていただいております。
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レッスンの詳細についてはこちら
演奏に使用しているセッティング
マウスピース
H.Selmer SUPER SESSION アルトサックス D
リガチャー
リード
楽器
Yanagisawa A992(もう製造されていない型番です。)
現行機種はこちら
ストラップ
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