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初心者の方が最初につまずくポイントの一つがタンギングです。
タンギングとは「tongue 」、つまり「舌」の使い方の技術なのですが、教える側からすると指の動きのように直接見せることができないためどうしても抽象的な話になりがちです。
体を半分に割って横から舌の動きをお見せ出来れば良いのでしょうが、そういうわけにもいきません。
この記事でなるべくわかりやすくタンギングのやり方、そして、呼吸との関係を説明出来ればと思っています。
基本は「トゥー」。口に出して言ってみましょう。
まずは楽器を持たずに口だけで「トゥー」(Tuー)と言ってみましょう。TRUTHの「トゥ」です。True love の「トゥ」です。すみません、例が微妙に古くて。
言いにくい方は「ター」とか「トー」でも良いかもしれません。
「ツー」ではちょっと良くないです。舌の使い方が若干違います。
「トゥー」と発音した時に舌が上の歯と歯茎の間くらいを触っているのがわかるでしょうか?
これがまさにタンギングをしている時の舌に近い状態です。
そして舌の触れている部分ですが舌のちょっと内側のあたりで触れているのがわかるでしょうか?
けして舌全体でも、舌の先端でもないと思います。
初心者の方でタンギングが苦手な方はまずこの部分で勘違いされている方が多く見受けられます。
まずは楽器を持たずに口だけで「トゥー」と発音した状態を確認してくださいね。
マウスピースをくわえて「トゥー」と言ってみる。
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それでは今度はマウスピースをくわえて「トゥー」と言ってみましょう。
実際に声も出してみてくださいね。
「うー」とか「ぐー」みたいな感じでモゴモゴすると思いますがそれで構いません。
この時に、先ほどと違って今度はリードの先端あたりに舌が当たっているのがわかるでしょうか?
「トゥー」と言った時にリードに舌が当たって「パシャッ」と音が鳴っていればOKです。
さきほど「先端あたり」と書いたのは、けしてリードの先端に綺麗に当たるわけではないからです。
その周辺一帯になんとなく舌があたります。
そして、けしてリードの面にベターっと当たるわけでもないですね。
リードの面に当てようとすると舌が下がりすぎて音程も下がってしまいます。
速くタンギングをしようと思っても絶対出来ません。
音を鳴らさずに息だけでまずはタンギングをしてみる
次に、音を鳴らさずに息だけを楽器に通しながらタンギングをしてみましょう。
先ほどまでのステップが出来れば難なくこれはクリアー出来ると思います。
この状態は実際に音を出しながらタンギングをしている状態にかなり近いですね。
実際に音を鳴らしながらタンギングをしてみましょう!
いよいよ、実際に音を鳴らしながらタンギングをしてみます。
先ほどの音のない状態から徐々に息の圧力やスピードを上げていってください。
すると音が鳴りますよね?
その状態で舌を動かしてください。
きっとタンギングができたと思います。
どうですか?狙ったタイミングと速さで出来たでしょうか?
なかなか最初は難しいと思います。
ここで、重要な点が一つありますが、息圧がしっかりしていないとそもそも狙ったタイミングで音が鳴ってくれないという点です。
タンギングが苦手と言っている方でよく見受けられるのですが、問題は舌の動きではなく実際は息圧がしっかりしていなく音が狙ったタイミングでそもそもなっていないためタンギングも出来ない、もしくは遅れる状態であること多いです。
息圧を高める(息のスピードを上げる)ためにはお腹の筋肉の支えが不可欠です。
とても意見が分かれる部分なのであまり言及したくはないですが…避けては通れない呼吸とお腹の関係。
管楽器の経験がないのならとりあえずお腹には力を入れましょう。
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バースデーケーキのローソクの火を消す時に勢いよく息を吹きますよね?
その時大抵の人はお腹に力が入っているはずです。
ヒトが息をしっかりと吸い、吐く時には少なからずお腹が何かしらの働きをしているはずです。
実際にはお腹の周りのインナーマッスル(深層筋)である、腹横筋、骨盤底筋群、横隔膜、多裂筋、これらの筋肉が連動して働きます。
この筋肉は主に呼吸や姿勢を支えるための筋肉であるため使っていても力をこめているという感覚になりません。
しかし、普段デスクワークが中心で運動を全くしないような方はこれらの筋肉が満足に働いていない可能性があります。
特に普段の姿勢が猫背であったり、反り腰の方はあまり使えてないと言っても良いです。
ちなみにそれらのインナーマッスルがほとんど機能しなくなると腰が曲がって寝たきりになります(息をしている限りはこれらの筋肉は使いますので全く機能しないということはありません。)
なので生きている限りは少なからずそのインナーマッスルは使っていますが、管楽器を吹くためにはそれ以上に強靭なインナーマッスルのコントロールが必要です。
サックスを吹くときは普段の生活では使わないような量の息を様々な速度にコントロールしていますよね?これってかなりの運動量です。
呼吸という運動をするためにはどこかの筋肉が働いている必要があります。その中で支えとなっているのがお腹周りの4つのインナーマッスルです。
なので、初心者で普段運動をしないような方はサックスを吹く時はとりあえずお腹には力を入れましょう。
お腹に力を入れている状態はアウターマッスルである腹直筋(6パックにボコボコと割れる筋肉)に力を入れている状態なのであまり望ましくはないですが、インナーマッスルはアウターマッスルに連動して働く側面もありますので何もしないよりはマシです。
ここで勘違いしないで欲しいのは、けしてその状態でこの先ずっとやっていくというわけではないということです。
上手い人はそもそものスペックが違う
上手な奏者が「体の力は抜いて、お腹も力を抜いて吹くんだよ」と言っているのを聞いたことはないでしょうか。
これはある側面から見ると正しいです。
なぜなら彼らは楽器を吹くにあたって必要なインナーマッスルが長い演奏経験により十分に鍛えられていて、腹直筋に力を入れなくともインナーマッスルが働いているからです。
先ほど申し上げた通り、インナーマッスルが働いたとしても力を入れているという感覚にはなりません。「力を抜いて吹くんだよ」と言っている方はまさにこの状態を言っているのかと思います。
しかし、初心者がこれを鵜呑みにしてただ「力を抜けばいいんだ」とやってしまうと息を出すたびにお腹は不安定に動き、音程は下がり(もしくは上ずり)タンギングのタイミングもずれ、速さも上がらないという状況に陥ります。
なので最初はとりあえずお腹には力を入れて練習しましょう。それだけで息はかなり安定します。タンギングも多少はマシになるはずです。
あまりお見かけしないですがスーパーサイヤ人2みたいなマッチョの方の場合
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本当はスーパーサイヤ人2のトランクスにご登場いただきたかったですが著作権の関係上フリー素材のマッチョ外人。
逆に普段筋トレをしていてお腹が6つに割れているという人(そういう人はあまりサックスをやろうとはしませんが)吹いている時の姿勢に気をつけましょう。
お腹が6つに割れているということは腹直筋にしっかりと筋肉がついているという状態です。
お腹が6つに割れているけど猫背気味にもなっているという方はアウターマッスルとインナーマッスルのバランスが悪く、逆に運動能力が低下しています。
たまにいる疲れやすいマッチョです。使えないマッチョです。スーパーサイヤ人2のトランクスです。すいませんわかりにくいですね。 トランクスファンの方すみません。
このような方は何をするにしてもアウターマッスルが優位に働くため、力んだ状態になっています。なので楽器を演奏するというような究極に細かい作業がしにくくなっています。
なのでまずは楽器を吹く時は背筋を伸ばし、Vの字に上がっている鎖骨を水平にし脇を締め綺麗な姿勢をとりましょう。
マッチョの方はそれすらも辛い場合がありますが、まずは綺麗な姿勢をとり、肩や首に力が入ってる状態から抜け出します。
結局は息がしっかりしていないと舌も回らない
長々と筋肉の話をしていましたが、要は息がしっかりとある程度のスピード感を持って楽器の中に入らないとタンギングは上手くいかない。ということです。
そのためにはインナーマッスルが必要ですよ。ということ。
そしてインナーマッスルをつけるためには呼吸をしっかりと練習する必要がありますよ。ということ。
普通の腹筋運動をしても多少はつきますが、やりすぎると逆効果です。腹筋運動はインナーマッスルもつくように工夫してやらないとダメです。
なのでタンギングが「上手くいかない」という場合は舌の動きに問題がある場合とブレスの問題である場合のふた通りがあるということになります。
ここでタンギングが上手くいかない場合のチェックポイントをまとめると
1.口だけでトゥーと言ってみる
2.マウスピースをくわえてトゥーと言ってみる
3.息を入れてタンギングをしてみる(音は鳴らさない)
~(ここまでが問題なく、速さもある程度出る場合は舌の問題はない)~
4.実際に音を鳴らしてタンギングをする
※ここで急に出来なくなるようであれば舌ではなく息圧に問題がある
・ヒョロヒョロ猫背・反り腰の方→とりあえず腹に力を入れましょう。話はまずそこからだ。
・ムキムキマッチョ6パック猫背の方→背筋を伸ばしましょう。
・姿勢が綺麗な方→多分出来てるはず。出来ない場合は話がさらに細かくなるのでレッスンに来てください。
というようになります。
以上がタンギングと呼吸の関係です。
呼吸についてはここでは書ききれなかった点もありますのでまたの機会に記事にしたいと思います。
この記事の執筆者
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